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星方武侠アウトロースター 国家の設定・異種族
- 2009/11/14(Sat) -
 到星暦元年、外宇宙(太陽系外)に到達した地球人類は、大きく生活領域を拡大し、他の知的種族と交流または交戦しながら、歴史上これまでにない繁栄を謳歌しています。人間の世界はアメリカ系のUSSA、ロシア系のピョートル帝国、中国系の天覇(ティンパ)帝国の三大大国が牛耳っています。中ソ対立時代みたいですね。他にもヨーロッパ系(ドイツ系?)のアインホルン(アインツベルンではなく。イリヤかわいいよイリヤ)帝国のような小国家も存在しているようです。一方、日本人は地球にこだわって宇宙進出が遅れたようです。エンジェルリンクスの副艦長、飛田鴻星が語っていました(小説版エンジェルリンクス)。こういったところも、ガンダムで連邦側に日系人が多いのと似て興味深いです。シン・マツナガは違いますが。

 先ほどあげた三大強国のなかでは天覇帝国が一番強く、神託(オラクル)砲搭載艦の半数を保持しています。神託砲とは電子機器を使った兵器の行動を不能にする、ミノフスキー粒子っぽい兵器です。第一次大戦後の大艦巨砲主義時代に戦艦の保有数で国力が計られたのと一緒で、この時代では軍事力は神託砲搭載艦によって計られます。

 さて一見、オーウェルの「1984」とか「ガンダム00」のように巨大な勢力に三分割された世界のように見えるかもしれませんが、二つ違いがあります。異星人の存在と強大なマフィアの存在です。

 この物語の世界(トゥワード・スターワールド)には地球人類と違う姿形をした異星人がたくさんいます。13話に出てきた植物型異星人(?)をのぞくと、彼らはおおむね地球人類に近い形をしています。


クタールクタール人

クタールクタール人は地球人類と最初に接触した人型知的生命体です。非常に好戦的で、地球人類は彼らと3度の交戦をしているようですが、現在は平和条約が結ばれているようです。その軍事力は一時的であるにせよ、三大大国が手を握らざるを得ないほどでした。

彼らは獣人っぽい異星人ですが、獣っぽい耳をもっている以外は見かけとしては地球人類とあまり違いがありません。この時期(1998年)ではネコ耳などの獣耳キャラはまだはやっていなかったので、先見の明があったといえるかもしれません。体格自体は人間と大して変わりませんが、その身体能力は地球人類を遙かに上回ります。

高い身体能力を持つクタールクタール人ですが、彼らの最大の特徴はドラゴンボールのサイヤ人のように変身して一時的に戦闘力を高められることです。他の人は分かりませんが主人公チームのエイシャさんはホワイトタイガーになりました。地球人類が知っている限り、クタールクタール人には三つの種族がいるそうです。ひょっとしたら、変身する動物も三種類なのかもしれません。変身したクタールクタール人には、他の種族では一流の格闘家ですら歯が立たないようです(18話)。

Wikipediaにも書かれていますが、スタートレックのクリンゴン人をモデルにしている物と思われます。ちなみに、クリンゴン人のモデルはアメリカ人の考える戦前・戦中の日本人であるとおもわれます。

主人公の仲間にエイシャ・クランクランというクタールクタール人がいます。彼女の行動や性格がどこまでクタールクタール人を代表しているかは分かりませんが、彼女の性格から察するとクタールクタールは無計画で直情的です。また論理を嫌い、悩みのある人間には「運動して忘れろ」とアドバイスをします(20話)。軍人的資質としては、銀河英雄伝説でいうとビッテンフェルトでしょう。つまり、攻撃には向いていますが、防御にはまるで向いていないと思われます。

クタールクタール人は地球人類と同じで恒星間航行技術を持っています。彼らの船はまるでネズミーランドのウェスタンランドのように、人工的に作った川や木々で被われています。こういう発想は「天地無用」の船に似ている物を感じます。そういえば、イデオンのソロ・シップの中にも林がありましたよね。

漫画版の設定資料を読むと、彼らの社会は、「種族自体が特殊な階級制によって統括されている」そうです。詳しい内容は分かりませんが、革命前のフランスみたいな中央集権的な貴族制だと思われます。恐らく貴族たる人々ものうのうと暮らしていくのではなく、絶えず自分を磨くことが求められるようです。たとえば、エイシャは名門クランクラン家に生まれ、士官学校を次席で卒業しました。しかし、彼女の一族は次席という成績すら不名誉と捉えました。また、クタールクタールの中には一般人というものはおらず、何らかの形で軍隊とかかわっているそうです。


シルグリ人

首から下は少ししか地球人類と変わりませんが、頭だけ鳥の形をした種族です。ほ乳類ではないはずなのに、女性型のシルグリ人は人類の女性のような胸をしているようです(23話)。鳥頭といえば、鶏のようにすぐに物を忘れる人間を馬鹿にした言葉ですが、シルグリ人はおそらく地球人類と変わらない知性を持ち、特に商売に熱心なようです。

文化としては、関西弁をしゃべり(宇宙共通語がなまっていることをあらしているのでしょうか)、彼らの聖堂にはキリスト教の壁画にそっくりな壁画が飾られています(17話)。その聖堂でヒロインのメルフィナはシルグリの神官に諭されるのですが、ここはなかなかいいシーンです。

ところで友野詳のルナル・サーガにやはり関西弁をしゃべる鳥人間種族が現れるのですが、なんか関係があるのでしょうか。


参考にしたサイト

http://www.gsc.ne.jp/cgi-bin/bbs_c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=2213;id=data_huge
http://choco.2ch.net/anime/kako/1002/10026/1002602914.html
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星方武侠アウトロースター Cowboy Bebopとの類似点・武侠とは
- 2009/11/14(Sat) -
カウボーイビバップと放送当時は比較された(らしい)

 リアルタイムで見ていなかったので知りませんでしたが、wikipediaによると放送当時は盛んにカウボーイビバップと比較されたそうです。似ている点を上げると、

・人類が宇宙を開拓中の時代で、中国系が幅をきかせている。そのため、開拓された星の繁華街は香港の目抜き通りみたいに、中国語の看板で町が埋め尽くされいる。中国系マフィアも暗躍している。

・主人公は素手でも腕っぷしは強いが、得意武器は銃。ただし、アウトロースターの主人公の銃は魔法のこめられた弾を撃つことが出来る(「ダイの大冒険」の魔弾銃に似ている)。

・主人公たちは賞金稼ぎも収入源にしている。ただ、アウトロースターだと他の収入源も多い。仲間との距離がつかず、離れずというのも似ている。

・アウトロースターの仲間の一人はコンピューターに通じたショタ。カウボーイビバップではエドというハッカー少女(見かけは少年そのものだが)が出てくる。

ぐらいしかありません。これを共通点が多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれでしょう。


 俺の見解としては、

・当時(1998年)、中国は改革開放が軌道に乗りつつあり、既に多くの人間が中国の強大化を予見していた。したがって、それを設定に盛り込むのは特殊なことではない。

・主人公が喧嘩が強く、射撃もうまいのはよくある描写。

・宇宙を放浪させるには、主人公チームを賞金稼ぎにするのが手っ取り早い。昔から、SFではよくある設定(サーヤ様の好まれた「クラッシャージョウ」など)

・当時はインターネットと携帯電話が普及し始めていた。その時代の雰囲気と話の作りやすさから言って、ハッカーを主人公チームにいれるのは普通。

ということで、パクリでは無いと思います。ただ、同じサンライズで似た企画が通ったのは第10スタジオの処女作だからでしょう。


「武侠」とは

 アニメ化に先立ってウルトラジャンプで連載されていた(三巻で、一応は休載中ということになっている)漫画版では題名はただ単に「アウトロースター」ですが、アニメ版は「星方武侠」が頭につきます。星方は分かるとして、武侠とは何でしょうか。俺は武侠小説は読んだことがないので、今まで読んだネット上の情報のみを頼りに書いてみます。

 武侠とは中国の武侠小説にでてくる人間で、武を極め、義を重んじる人という意味です。つまり、ワンピースのルフィのように、強くて、弱い人間がいじめられているのを見過ごすことが出来ない人間ぐらいの意味かと思います。こういうと、水戸黄門のような時代劇的ヒーローと変わらない様に思われますが、大きな違いが二つあります。

 一つは女性の為に戦うことを大まじめに肯定することです。さっき述べたカウボーイビバップでも昔の任侠映画でも、日本の作品では止めようとする女性の手を振り切って「男には戦わなければならない時があるんだ」とかいって(か、背中で語って)決戦の地に赴く場合が多いです。それに対して、武侠小説では心から愛した女性のために戦うというのが多いらしいです。そういえば、最近ではレッドクリフの曹操も美女を手に入れるために戦うとかいっているらしいですね。

 二つ目は権力者が身分を隠して庶民を助ける(水戸黄門とか暴れん坊将軍のように)、という日本の時代劇ではお約束のパターンはないようです。あくまでも主人公の武侠はシェーンのように、もしくは昔の渡り鳥シリーズのように、ただの気のいい風来坊に過ぎません。

 さて、日本には武侠小説に影響された作品はあるでしょうか。かつて、コミックバンチで連載されていた韓国の武侠漫画「熱血江湖」が打ち切りになったときに、誰か関係者が「日本には武侠文化が根付いていなかったからだろう」といっていたような気がしますが、本格的な物かどうかは別として、武侠的である作品を二つあげることが出来ると思います。

 一つは、「北斗の拳」です。ケンシロウは(修羅の国=未来の中国だとすると)中国に源流を持つ北斗神拳を極め、弱い庶民をモヒカンたちから守ります。しかし、彼の本当の目的はか弱い市民を守ることではなく、愛する女性ユリアをシンやラオウから取り返すことでした。ケンシロウは闘いを通し男たちとも友情を育み、出会う女性の多くに愛するユリアの面影を見つづけます。ケンシロウとラオウは北斗神拳継承者としてだけではなく、ユリアを巡る男として戦います。武を重んじ、義を重んじ、女性を愛するというところから、北斗の拳は武侠的であると言っていいでしょう。

 また、もうひとつの例は「ドラゴンボール」です。北斗の拳に比べると、武によりすぎている感じもしますが、荒唐無稽な現実的とはいえない武術による戦いという点ではこれもまた武侠的であると思います。ただし、鳥山明も認めているように、ドラゴンボールの恋愛や男女の描写は非常に淡泊です。チチを守るために戦う、とか悟空の口から聞いた記憶はないです。男女の描写と言ったら、あえていえば、ベジータがブルマと暮らして変わっていったところ位でしょうか。

参考にしたサイト
http://www010.upp.so-net.ne.jp/a_kizurizm/bukyonyumon.htm
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星方武侠アウトロースター・概説
- 2009/11/14(Sat) -
 ハルヒとかガンダムとかジブリについても書きたいことはありますが、そんなものを書いたところで他に書いている人がたくさんいると思うので、ニコニコでいう「もっと評価されるべき」な作品について書きます。
 
 テレビアニメ「星方武侠アウトロースター」は1998年に放送されたアニメです。細かい説明は後に回すとして、ひとまず見所、特徴などを簡単に箇条書きにします。

・この作品はSFだともいえるが、スペースオペラ(SF的ではあるが、未来の科学技術の信憑性より、娯楽性や宇宙のロマンを重視する。例えば、999、コブラ、銀河英雄伝説など)、もしくはスチームパンク(エーテル機関とか昔の科学的前提で書かれたSF。サクラ大戦、ラピュタ、鋼の錬金術師(?)、Last Exileなど)といった方がいい。

・主人公の愛機アウトロースター号は全長72m(コンバトラーVの57mよりでかい)と大型のグラップラーシップ。グラップラーシップとは手の生えた宇宙船で、これで敵と格闘戦をすることができる。早い話がファーストガンダムのビグロのようなもの。ターンAガンダムと同じで、最初はださく思うかもしれないが、見ているうちに妙にかっこよく感じられるようになる。というか、なってほしい。種でいうとストライクフリーダムよりメビウスがかっこいいという人なら分かってくれるはず。

・川澄綾子の(多分)初主演作品。とても新人とは思えない演技をしている。

・サブヒロイン(?)の一人はエイシャ・クランクラン。巨乳で獣耳でしっぽがあり、語尾に「ぞな」をつけているが、でじこのパクリじゃなくこっちが一応先。今ではよくいそうなキャラではあるが。そんなことよりマクロスFのサブヒロインに名前をインスパイアされました。

・ストーリーの全体はよくある復讐と宝探しと自分探しのお話。ストーリー全体に目新しさを期待してはいけない。むしろ、一話単位の出来がいい。

 興味のある人は各論も読んでください。ただし、バリバリネタバレなんで注意してください。あと、この作品についての文章化された設定情報というのは非常に限られているので、姉妹作品である「星方天使エンジェルリンクス」内の設定も同一の世界観の同じ時代を共有している物と見なし、「星方武侠アウトロースター」の設定を補完します。「星方天使エンジェルリンクス」はアニメ版、小説版の設定ともに矛盾がない限り正しい設定と見なします。あと、漫画版アウトロースターはシナリオが大幅にアニメと異なるので、設定情報のみを正しいと見なします。
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